受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

出師の誓い

「出師」というのは三国志の蜀の国の軍師・諸葛孔明が、国の外の敵に、戦いを挑んでいくにあたり、その決意を示した文書だ。
正確には出師表と言い、出師表と後出師表の2つがある。
後のものは偽作とも言われているが、それでも、並々ならぬ孔明の決意が現れており、受験老人はこの後出師表の方が好きだ。
(実は「三国志」は横山光輝のマンガで読んだだけだが、全60巻読むのは大変だった。)


かつて蜀の王、劉備のもとには関羽、張飛をはじめ、多くの英雄たちが綺羅星のごとく集まった。
劉備に三顧の礼をもって迎えられた孔明は、それら英雄たちとともに、奇想天外の戦いを挑み、次々に勝利を挙げていった。
孔明は、こと戦いにおいては、神様のような才能を発揮したのだ。 


しかし、運悪くそれらの英雄たちは次々と死に、主君である劉備も崩御した。
天才・孔明もなすすべなく、状況は暗転した。
立地の悪い国土、かつてより弱小な軍隊、しかも劉備の後継者はダメ君主ときた。
そんな状況で、強大な敵に立ち向かっていかねばならない。
孔明はそうした不利を正確に把握した上で、何としてもやり抜いてみせるという、悲愴な決意をし、自分自身を奮い立たせたのだ。それが「後出師表」だ。


・・・・受験老人は、この時の孔明に比べればはるかに気楽である。
だが、受験を一種の戦いだとみなせば、それなりの覚悟が必要だ。
そこで、受験老人も自分なりの「出師の誓い」を立ててみた。これからのことだ。
(以下、個人のことになるのでつまらないが。)


・今年は、予備試験は短答式試験は絶対合格する。(試験が7月以降にあった場合)
 ~そのため、7科目についてそれぞれ4冊以上の参考書・問題集をやる(計30冊以上)。
 ~特に問題集は1冊以上やる。(司法試験用のものにはならないだろうが。)


・今年こそ、医学部に合格する。しかも最高点に近い点を取る。
 ~そのために、教科ごとに計画を立てる。
 ~理科は「物理」と「生物」で受験する。(2次で試験時間内に解くため。)
 ~物理はまず漆原の参考書(力学、波動、電磁気)をやり、それから漆原の明解、
  漆原の88題をやる。
 ~生物は面白いほどわかるシリーズ(生物基礎、生物)をやり、その後セミナー生物、
  重要問題集をやる。
 ~数学はまずチャート式の総合問題を完璧に仕上げる。
 ~国語、地理、英語はとりあえず、直前までやらなくていいか。


・それより前に、今年こそ、医学部学士試験に合格する。
 ~生物は、学士試験用のZ会の古い本を仕入れた。これを3回どおりはやる。
 ~物理、化学は大学受験の知識で十分か。
 ~統計学は、何か参考書で勉強する。
 ~英語は基本的にやらない。


いやはやむちゃくちゃな計画だ。しかし、これこそが受験老人の「出師表」だ。
諸葛孔明のような策士にはなれぬが、まずこうしたシナリオを作ることで戦略的にやる。
それこそが、戦いを勝利に導いてくれると自分を信じたい。