PCR顛末記~その1
久しぶりにブログを書く。いわば受験老人の復活第一弾だ。
だがそれは、いきなり物議を醸すものになってしまいそうだ。
受験老人は実は、この間に入院を経験した。
・・・・・コロナの疑いで。
以前ブログで書いた「悪夢」とは違う。
いや、現実でも悪夢と呼ぶのなら、悪夢が悪夢になったと言うべきか???
あまり読者を心配させてもいけないので、結論を先に言うと、PCRの結果は陰性だった。
だが、このことで、受験老人はいろいろなことを考えさせられた。
以下、顛末記である。
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受験老人はは高齢の父の世話をするため、1週間前、郷里に帰省した。
ところが次の朝、体調がすぐれず、体温を測った。
えっ・・・・38度5分。
受験老人の普段の体温は35度8分。
こんな高熱は見たことがない。どころか、ここ数年、風邪すらひいたことがなかった。
この時期の発熱で、もしやCOVID-19ではないかとの疑念が頭をよぎった。
そう言えば、全身倦怠感があり、また、匂いも感じられないような気がしてきた。
受験老人は夜の街など無縁だが、知らぬうちに感染しているかもしれぬ。
自分も高齢にさしかかり、しかも高脂血症と高血圧。リスクグループのただ中だ。
さらに、高齢の父に感染させたら大変なことになる。
そして万一、感染していたとすると、職場の皆に大きな迷惑をかけることになる。
そう思って、市の新型コロナウイルス受信相談センターに連絡した。
とりあえずPCRを受けてみようと。
受験老人の印象だが、電話先での相手は、最初、受験老人の感染には訝しげだった。
いろいろな症状を聞かれた。普通の症状だとコロナではないと言いたげだった。
しかし、受験老人は全身倦怠感、におい喪失等を切々と訴えた。
受験老人が東京から帰省したことを告げると、相手は本気モードになった。
高齢の父のことも訴えると、相手も万一のことがあったらまずいと思ったのか、
受け入れてくれることになった。
ただ、問題があった。
コロナの可能性がある者はタクシーを含め、交通機関の利用はできないことになる。
なので兄弟や親戚の車で受け入れ病院まで行かねばならない。
だが、受験老人の親族は皆、高齢のため、車を持っていない。
このため救急車が来ることになった。
その後、ほどなく救急車が到着。
救急車の隊員は3人。皆、除染服と防護マスクで重装備である。
しかし、到着後、保健所との連絡や受け入れ先との調整に15分以上かかった。
その間、受験老人もずっと立ちっぱなしだ。何だろう、この調整の悪さは。
いろいろ聞かれた。感染者と接触した可能性はないかと。
特に地元では最近、企業から感染者も出ており、接触していないかしつこく聞かれた。
調整の間、ずっと救急車は停まっていたため、近所の者がわらわら集まってくる。
何事かと聞いてくる者すらいる。
やばっ、と思った。これぞ、コロナ差別につながる要因か??
救急隊員の衣服を見てきっと気づく者もいるだろう。
地元では、自粛期間には外部からの感染者が入るのを拒否するため、
サービスエリアでの検問を義務付け、顰蹙を買った。
また、かつては他県ナンバーの車への煽り運転も横行していた。
受験老人は、遠巻きに見つめる近所の人たちを軽くいなし、おぼつかない足取りを装い、救急車に乗り込んだ。
行先は地元で一番大きな病院だ。
病院に到着した。救急の医師と看護師がつきっきりで徹底的に検査をした。
採血、検尿、血圧、酸素濃度、心電図、レントゲン、褐炭検査、点滴、解熱剤、
そして最後に肺のCTを撮った。
その間に、体温はぐんぐん上がり、39度近くになった。
元気も次第になくなってきたが、これでもかと検査をする。
だが、それでも正確に調べてもらえるのならありがたい。
CT検査は最初、失敗した。被ばくが心配になり、問いただした。
担当者たちも顔をしかめた。この4年間で1度も失敗はなかったのだが、と言われた。
ただ失敗したのは位置決めの撮像だから被ばく量も少なく、大丈夫だとのこと。本当か?
そして、別のCTに移動して撮影。時間のロスになった。
撮像したところ、右肺の奥に少しもやっとした影があるのが分かった。
医師は、肺炎になりかかっている、と言った。
えっ・・・・
しかし、医師は間髪を入れずに続けた。これは典型的なコロナとは違う、と。
コロナの場合は、両肺に、擦りガラスのように全体を覆うような像ができるとのこと。
さらに、これまで同病院で100人ほど検査したが、結果は全て陰性だった。
明らかにコロナっぽい特有の撮像になっている患者でも陰性だった。
なので、私の場合はおそらく陰性だろうと。
しかし、まだ確実ではない。
だが・・・・それからの検査だ。ここまでに既に3時間ほど経過。
時間は既に午後7時を過ぎていた。結果が出るのは夜中か???
いよいよPCR。不謹慎ながら、受験老人は検査のやり方に興味があった。
PCRは最近、唾液でも検査する方法が宣伝されている。医療者の安全にもいい。
だが、担当者によると、不純物も混ざるし薄まったりするので実用的ではないとのこと。
やはり確実なのは鼻の奥に綿棒を突っ込んで搔き取るというもの。
一瞬、ちくりとした痛みを覚えた。仕方ない。
結局、結果は当日中には出ないということで、病院に宿泊することになった。
う~む。ちょっとシステマティックでないのでは。
最初からPCR検査をしていればもう結果が出ていたのに・・・・。
しかし、愚痴は言えない。
救急の人たちは休日にも関わらず、私一人のためにつきっきりでやってくれてるのだ。
受験老人はコロナ疑いの患者ということで、特別の陰圧を施した部屋があてがわれた。
外でボタンを押して中に入る。
だだ広い部屋だ。冷蔵庫やテレビ、トイレやシャワー室まで完備している。
リッチな雰囲気だが、あとで多額の入院費を請求されると思うととほほ。
その後は、看護師が除染服と防護マスク覆われた格好で私に対応してくれた。
ぐっすり寝られた。
次の朝、1日ぶりの食事だった。
オムレツ、みそ汁、海苔、いんげん、みかん、牛乳。
何と美味しかったことか。
食器は使い捨てになっており、自分で2重のポリ袋に入れて捨てるよう指示された。
担当の医師がやって来た。医師は中に入らず、ドア越しに話しかけてくる。
PCRの結果は今日中に出るので、それまで待ってくれと。
う~ん。そんなに時間がかかるものか。
夜のうちにやっていれば、朝には結果が出ているのではないか???
だが、そんなものなのだろう。
ここは総合病院。コロナの検査を集中的にやっているところではない。
対応した医師も、感染症専門の医師は休日でおらず、呼吸器内科の医師だった。
前に書いたように、ここで100人検査をして1人も感染したものがいなかったとのこと。
それなのに、一人一人にこれだけ手厚い検査を行っている。大きな労力だ。
それなら、検査する対象を選別し、できるだけ検査をしたくない気持ちもよく分かる。
しかし、そんなところはあまり報道されない。
そして、陽性なのに検査してもらえなかったレアケースのみを大げさに取り上げる。
そんな構図も見えてきた。
ただ、疑いがあればドライブスルー方式でもっと手軽に検査してもいいのにとも思った。
・・・・
昼ご飯を食べている時に、やっと結果通知があった。
陰性だった。
すごく嬉しかった。
万一感染したとして、濃厚接触者である家族、それから父に対する近所からの差別、
そして職場もせっかく感染対策をとっていたのに、それを台無しにするところだった。
・・・・
職場では、緊急事態宣言の解除の後、次第に緩和がなされてきた。
普通に毎日出勤する人が増えてきた。
歓送会も行われ始め、委員会もそろそろ対面でという雰囲気になりつつある。
実際、マスクさえしておけば、かかるはずはない思っている人は多いと思う。
東京で100人感染者が出たと言っても、10万人に1人だ。宝くじに当たる確率より低い。
だが、そんな中、誰か1人でも感染者が出たらどうか。大騒ぎになることは間違いない。
そして、最初の感染者は非難され、職場に居づらくなるのではないか。
職場の中からも、そういう差別意識をなくしていくことが大切だと実感した。
まさに感染者がいまだゼロの岩手県知事が言うように、最初の感染者を非難しないこと。
東京は第二波っぽい状況になっている。
いつか職場にも、きっと1人目の感染者が出ると思う。
その時の対応のためにも、単なる対応措置のマニュアルではなく、
1人1人が心のマニュアルを持つことが必要だと感じた次第。
・・・・ところが、話はそう簡単ではなかったことにあとで気づくことになる。
(以下、次回。)
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