受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

ムダこそ我が人生

受験老人は去年、還暦になった。
そしてこの3月で職場を退職し、4月から再雇用されている。


孔子によると、還暦は耳順、すなわち物分かりがよくなり、他人の言うことを素直に聞けるようにならねばならぬという。
しかし、受験老人は到底、そのような域には達していない。
他人の忠告どこ吹く風、自分がやりたいと思えば、なりふり構わずやろうとする。
生まれ年が亥年ということもあり、まさに猪突猛進である。


それが受験老人の悪いところであり、また、いいところでもあるのだろう。


それゆえ、あとで考えると、ずいぶん無駄なことをしてきたと思う。
大学時代もそう、職場でもそう。今現在だってそうだ。


もう少し功利的に物事を考え、正しいプロセスをとっていたら、と思う。
研究者になり、それなりの発見をして、賞をもらっていたかもしれぬ。
官僚としてそつなく過ごし、それなりに出世していたかもしれぬ。


少なくとも、いずれの道でも、もっとうまくやっていたら・・・・と思うことはある。
だが、結局、そのような真っすぐの人生を受験老人は選ばなかった。


家族を含め、私の知っている人たちからは、素直にやればいいところを、何でも、わざと自分勝手に遠回りの道を選んでやろうとする、とあきれられる。


今回の、医学部と司法試験予備試験の同時受験など、まさにその典型。(さらに学士入学試験まで加わっている。)
どれか一つに集中していたら、特に医学部はかなりの確率で受かっていただろう。
そして、こうして同時並行させたことで、結局全てが中途半端になってしまっている。
どれも受からなかったら、膨大な勉強時間が全てムダになってしまう。


そして、たとえ受かったとして、その先、医学と司法の2つを同時にやれるのか。
そもそも、1つだけでも難しいのではないか。医者になるのは6年後だ。
せっかく大学や、司法研修で勉強しても、それを使う時にはヨボヨボだ。
下手するともっと大きなムダになってしまう。


再雇用されながら、もっとのんびり老後を送ればいいではないか。
バカな人だ・・・・そう、誰もが思うだろう。


受験老人の人生は、まさにムダばかりだったと言ってよい。
ムダばかりで人生が彩られている。もっとマシな生き方ができなかったか。
しかし・・・・あえて言いたい。「ムダこそ我が人生。」


私だけでない。せっかくいろいろなことをやっても、皆、最後は死んでいく。
それなら、ムダになろうとも、思いっきり、自分の好きなことをやればいいではないか。


とにかく、やりたいことがあること、これが重要だ。
何でもいい、人からバカにされることでもいい。自分がやりたければいい。
そうして、受験老人はある時からそうした生き方をするようになった。
そのことに悔いはない。


ただ、いつも言っているが、受験老人としては、その、自分のやりたいことが、他人や、世の中のためになるようにしたいと思う。
まずは、こうして年をとっても努力しようとする姿、その姿を見て、読者のうちの何人かを勇気づけ、元気づけられたらいいと思う。


さあ、今日もがんばろう。