受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

なんでこんなに英会話ができないの??(その3)


さて、前回述べたような事情で、私は2年半ほど、ドイツ語圏にある国際機関に勤めることになった。


だが、恥ずかしながら英会話能力は散々だった。


1対1なら、何とか自分の意思を伝えることができるようになった。そして相手の話が分からない場合にも、繰り返して聞いて何とか理解した。


ところが、3人以上の会話や、ディスカッションになると、全くついていけないのだ。



私の上司に当たる米国人も、私のことを快く思っていなかったかもしれない。


「いつも日本から来る奴は英語の経験がない者が多い。」と愚痴をこぼした。


ただ、私は英会話はできない分、英語の文献を読んだり英語でメールを打ったりするのはまずまずできた。だからいろいろなロジ作業はできた。


しかし、英会話ができないのは致命的だった。



だが、職場では英語、日常生活ではドイツ語を使わねばならない。


職場では、どちらも語学研修があった。


私は上司に、両方を学びたいと申し出たところ、上司は


「おおゥ、人間の脳は2つの言語を同時に学ぶようにはできていない。」と皮肉を言った。



それでも私は両方の語学研修に出席した。


すると、ドイツ語の方は、経験があるからか、どんどん進み、優秀者になった。


では、英語はというと・・・


実は、その英語研修は、英会話で英語の文法を教えてくれるものだった。


私にとっては教師の言っていることは分からなくても、文法は実に簡単だった。


だから、試験だけはすごく良い点を出すことができた。


先生は、私の点数を見て非常に驚いた顔をした。普段は訥々とした会話しかできない者が、試験では最上位にいるのだ。


まっ受験老人の本領発揮というところだが、私はこのアンバランスが恥ずかしかった。



私の子どもたちは海外にいる間、アメリカンスクールに行くことになった。


半年もするとまあまあ会話ができるようになって、子供がその友達を連れてきた。


そこで、私は子供の友達に簡単な英語で挨拶した。するとその友達は変な顔をした。


後で子供に聞いたところ、「僕は君のお父さんの日本語が分からないから。」と言ったそうだ。ヒ—・・・・。