受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

58歳の何のとりえもない男が、医学部と司法試験を同時に、しかも短期間で合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

東大受験・・・・その結果は?


今から40年前の大学入試には、センター試験やその前身の共通一次試験がない代わりに、東大だけは大学で一次試験と二次試験を設けていた。


一次試験はマーク式で、完全に足きりだったが、理科を2教科、社会を2教科受けなければならなかった。



私は社会の勉強はほとんどしておらず、一応、日本史と世界史を勉強していたのだが、選択肢は実に微妙で、下手に考えると間違えるおそれがあった。


そこで私は一大決断をした。その場で受験科目を変えたのだ。


そして、世界史と日本史から、世界史と地理に変更したのだ。


なぜなら、地理の問題は、4つほど選択肢があり、正解の個数を書けという問題がほとんどだったからだ。


私はその回答として、全て2と書いた。まあ4つ選択肢があれば2つ正解があるというのが妥当なところだろう。



そんなサイコロ投げのような回答の仕方が功を奏し、私はなんとか一次試験を合格した。


ところが思わぬ伏兵がいた。風邪をひいたのである。


高熱が出た。どうやらインフルエンザらしかった。


二次試験はもう数日後に迫っていた。


なかなか風邪が引かなかったが、試験前々日の夜くらいになって、やっと熱が下がった。


私は神に感謝し、また二次試験のために西日本から東京まで出て行った。



しかし、全く自信はなかった。最後の追い込みがほとんどできていなかった。


奇跡でも起こらないかぎり、受かる目はないと思った。


だが、それは起きた。


数学の試験問題が配られた。


1問目から取り掛かった。少し考えさせる図形問題だった。


しかし、私はそれが解けたのである。


そして、それで調子づいたのか、次々と、面白いように問題が解けた。


結局、6問中、4問ほどは解けた。1問は半分。残り1問は解けなかった。


これまで赤本をやって、こんなに解けたのは初めてだった。



あとの科目は、とにかく自分の全精力をかけて解いた。


不思議と、力を出し切った爽快感が残った。



数日後、私は電話で東大に合格したことを知らされた。


長い戦いが終わったような気がした。私は晴れて東大生になったのである。


だが、それは終わりではなく、始まりだったことを私はまだ知らなかった。