受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

自己責任


何年か前のことである。日本人のジャーナリストが海外でテロリストに拉致され、殺されるという事件が起こった。


私がそのころやっていたメルマガで「危険なところにあえて自分で行ったのだから、自己責任だよね。」と何気なく書いたところ、ある知り合いから猛烈な反発を受けた。


その人は、マスコミの人でも、人道主義の人でもなかった。


・・・・なんと、その人は、殺されたジャーナリストの親戚だったのだ。



まあ、そんな人もいることに思い至らなかった私も迂闊だったが、自己責任に対する考えは今でも変わっていない。


あらゆることに自己責任をとるというのは、当たり前のことだと思うのだ。


日本政府は危険な国や地域には絶対行かないよう勧告している。


それを聞かずに破って行ったからには、それなりの覚悟があってのことだろう。


だから、行った方が悪いのは当然。


もっとも、第三国から危険地帯に入国すれば止められないし、罰も受けないかもしれないが。



そうした行為が、ジャーナリスズム精神のもとに許されるとしたら、どうなのだろう。


マスメディアはそのような行為は勇敢だとして称えることも多い。だが、メディアは、そうしたフリージャーナリストから情報をもらえるから、彼らを無下には扱えないだけかもしれない。


(なんか、ベンチャーが開発した新薬を買い受けて販売している製薬企業に似ているような気がする。リスクはベンチャーにまかせて、利益が出そうになったら吸い上げるというやり方だ。そういう意味では大マスコミや製薬会社は安気な商売かも?)



今回は、他の国が膨大な身代金を支払ったため、安田さんは無事に解放された。


日本政府は、交渉に当たっては身代金は一切払わず、それ以外のやり方で粘り強く交渉していくという方法をとった。それが日本のやり方だった。


・・・・当然だろう。もし日本政府が多額の身代金を払うことが知れ渡ったら、今後、それ目当てで日本人を狙った誘拐事件が多発することになる。



それでも、今回も日本政府は交渉の過程で、連絡等で結構な出費をしたと思う。担当の人たちも大わらわだっただろう。


そうした労力や費用は、いったいだれが負担することになるのか・・・・国民である。


確かに安田順平さんの体験談は、皆聞きたがるだろう。貴重な情報であるに違いない。


でも国民はそのような情報を得るために、お金を出すことに賛成するだろうか??



今後もジャーナリズム精神とやらで、危険地帯に飛び込むジャーナリストも出てくるだろう。今回のことでそうした人々が増えそうな予感もする。


じゃあ、これからはどうすればよいだろうか。



安田さんは、今回のことで講演したり、本を書いたりすれば、相当なお金が入ってくるにちがいない。


私としては、その収入の中から、少しでも、今回の救出にかかった費用を支払ってもらいたいと思うのだ。


それが(本人が意図するか否かにかかわらず)関係者に迷惑をかけたことへの償いではないか。


または、もしメディアが、ジャーナリスト精神を称賛する姿勢をとり続けるならば、


メディアがお金を出しあってそうした身代金をプールし、いざとなればその中から支払うようにしてもよいかも。


このように、基本的には、どんなことも、自分のしたことの責任は自分で取るようにしたいと思う。自分の責任を棚に上げて、他人のせいにかるのは間違っていると思う。



別に何でも自己責任と言っているわけではない。
北朝鮮への拉致被害者のように、自らの意思に反して拉致された人たちにはいくらでも支援の手を差しのべねばならない。
また、個人が十分注意していたにもかかわらず、不慮の事故や病気などになってしまった人たちも、救済措置をとっていく必要がある。


だが、今回のことは危険な登山や嵐の中での釣りと同じだ。あらかじめ死ぬ覚悟をしてやり始めたからには、自己責任というのは至極当然の話だと思うのだが。



まっ安田さんの話を聞けば、本人も自己責任は大いに自覚していたようである。さすが死の淵をかいくぐってきただけあって、しっかりした話し方だと感心した。


むしろ、しきりにジャーナリズム精神を持ち出し、擁護しようとしていたマスメディアや評論家のことが気になった。


あんたたち、ジャーナリズムってそんなに偉いのかと。



現在の受験老人の無謀な挑戦・・・・もちろんこれは「自己責任」である。


もっとも、ちゃんと受験するか・・・・
またダメだった時に受け入れる覚悟は・・・・
逆に万一受かった時にどうするかという覚悟は・・・・
全くないのだが。