受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

よい医者、悪い医者(16)

(前回の続き)
「あなたは、左目だけでなく、右目も問題が起きています。」

上は目の断面である。
網膜上にあるへこみの部分を黄斑といい、そこに視細胞が集中している。
なので、黄斑が損なわれると視力ががくっと落ちる。きわめて大切な部分である。
医師は言った。
「あなたの場合、この黄斑の部分にそれを覆うように膜がかかっているのです。
そして、その膜が網膜を引っ張って、ひきつったようになり、黄斑が歪んでいるのです。」


その黄斑の上の膜を取り除くには、またもや、目の中に器具を入れる手術が必要だと。
・・・・なんとも難儀な目である。


だが、左目はもうどうしようもない状態だが、
右目の原因ははっきりした。それに、治療法もある。
とにかく、丁寧に説明してくれたこの先生は信用できるぞ。
ちょっと家から熱海までは時間がかかるかもしれないけど、背に腹は代えられん。
受験老人は少し元気が出た。


その場では、手術に関する約束はしなかったが、
帰り道、電車の中で、受験老人は不安ながらも、
暗闇の中で少し光明が見えてきたような気がした。(実際の意味でも。)


翌日には、例の、横浜の民間の病院の診察があったが、受験老人の心はほぼ決まっていた。
予約をキャンセルしようかと思ったが、とりあえず、行くだけ行ってみようと思った。
「どうせ件数ばかり稼ぐ、簡単な治療しかしないのだろう。」
熱海の病院の医師の言葉は、ずっと受験老人の耳から離れなかった。
だが、受験老人には一方で、
他人の言葉によらず、自分自身できちんと確かめたい気持ちがあった。
「自灯明、法灯明」・・・・
そうして、横浜の病院の診断日を迎えた。


(次回に続く)


(12月1日)
・腕立て 35回
・腹筋
・ヨガ
・筋トレ
腕立て35回。受験老人の年と合わせるとちょうど100だ。
考えるに、これを健康の目安にしてもいいかも。70歳だと30回、80歳だと20回。
ただ、今の受験老人の目標はまだまだ先にあるのだ。