よい医者・悪い医者(6)
(前回の続き)
手術は部分麻酔をしているので、医師や看護師のやりとりがよく聞こえる。
「先生、血圧が200超えています!!」
看護師が叫ぶように言う。受験老人は普段から血圧が高いうえに、臆病者だ。
眼の中で機械が操作されているのが分かる。
眼の底まで機会を突っ込むのだから、結構大変な手術 なんだろう。
網膜剥離の手術の場合、必然的に白内障の手術もする。
眼球の一番前についている、生まれながら持っているレンズを超音波で破壊し、
その後に人工のレンズを入れるのだ。
レンズが破壊されると暗くなったが、人工レンズを入れるとかちっと音がした。
視界が明るくなったように思えた。
しかし、本番はここから。
目の玉そのものは、硝子体といって透明の粘着力のある液体で満たされているが、
それを全部抜いて、水に入れ換える。
それから、剥がれた網膜を棒のようなもので元に戻してぺたりと貼るのである。
がちゃがちゃ音がする。操作しているのが分かる。
そして、剥がれていた網膜をやっと貼り終えたのだろう。
続いて、プシュッ、プシュッという音がした。
これはおそらく、元に戻した網膜が二度と剥がれないように、
レーザーで固定しているのだと思った。
しかし、それにしてもやりすぎだろう。
以前、網膜の穴が開いたところに打たれたレーザーよりもはるかに回数が多い。
おそらく、何百発も打ったのだろう。
そんなに打って、網膜がボロボロになりはしないか・・・不安を感じた。
ようやく機械の音がストップした。手術の終了を告げられた。
1時間半くらいかかっただろうか。大手術だったように思えた。
受験老人は目を開けないようにして、眼帯がまかれた。
手術は成功したのだろうか・・・・
手術台から体を起こして周りを見ると、若手の医師や看護師たちが大勢いるのが分かった。
その時は何とも思わず、受験老人は
「皆様、私の手術に長時間付き合っていただいて、ありがとうございました。」
と、自然と挨拶していた。
彼らは一瞬、きょとんとしたような顔をしたが、
ほどなく受験老人に、「お疲れ様」と返した。
今から考えると、間抜けなことだった。
彼らは単に、この手術を見学していただけだったのだ。勉強のために・・・・
まあ、とにかく、早く見えるようになりたい。そう思った。
看護師が「お岩さんのような顔になっているから鏡を見ない方がいいわよ。」
と、ほほ笑みながら言った。
そして、これは硝子体手術の特徴なのだが、
その後、2週間くらいは、枕に頭をつけてうつぶせになっていなければならなかった。
受験老人の我慢の時間が始まった。あと2週間の入院である。
きっとこれで見えるようになる、受験老人はその時、そう信じた。
(次回に続く)
(11月21日)
・腕立て 29回
・腹筋 44回
・ヨガ
・筋トレ
はあはあ。もうすぐ30回の大台だ。
15回くらいでぞわっとする感覚が出てくるが、何とか頑張れる。
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