受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

桃源郷

宗教等についての話がひと段落したので、久しぶりに普通のブログに戻ることにする。


受験老人は先日、およそ2か月半ぶりに帰省した。
ずいぶん長い間、父母に会っておらず、心配でならなかった。


実家では、認知症の母は施設に入っている。
また、93歳の父は母が入院後、一人住まいをするようになっている。
なのでコロナ騒動前は、受験老人は頻繁に帰省して父の世話をし、母の見舞をしていた。


だが、コロナ自粛で国内の移動の自粛が強く求められるようになった。
帰省して、万一ウイルスを伝染してしまったら、大変なことになる。
また、母の施設は外部からのコロナの侵入を防ぐため、面会を禁止している。
このため、2か月間、やむなく帰省を自粛していた。


しかし、父を一人にさせておくのはそろそろ限界だと思った。
とにかく心配だったので、久しぶりに実家に帰ったのだ。


・・・・
実際に帰省してみると、父は変わらぬ笑顔を受験老人にくれた。
愚痴ひとつこぼすこともなく、一人住まいを満喫していると言った。


父は毎日、衰えないよう自分で運動している。
このため足は弱くなったが、電動自転車で遠くまで買い物に行っている。


父は耳が遠くなり、また、目は白内障で霞んであまり字も読めなくなってきているが、
最大の趣味である囲碁は、大いに楽しんでいる。
テレビの囲碁チャンネルをずっと見て、パソコンで囲碁ゲームをしている。
そして、高齢となった今も、頭の働きはよい。
今年から使い始めたスマホでさまざまなニュースを楽しんでいる。
そして新たな機能を学ぶべく、私が帰省した時は聞いてくる。


私はこんな、地道に努力する父の息子に生まれてよかったと思う。
私も、30年後、この父のように、常に好奇心と向上心を忘れないでいたい。
(それまでは生きていくつもりだ。)


帰省している間は、3食、受験老人が用意した。
我が家では受験老人は全く作っていないため、毎食作るのは結構しんどい。
それでもだんだん要領がよくなり、30分~40分で用意できるようになった。
父は、私が作るものは何でも喜んで食べてくれた。


一度、スシローで寿司を持ち帰った。
実家の近くにあるので、以前は父は母と一緒によく店に行っていたらしい。
ただタッチパネルが使えずベルトコンベヤーを回ってきた寿司しか取れなかった。
なので、食べられる種類が限定されていたようだ。
今回、いろいろ持ち帰ると、こんな珍しいものがあるのかと驚き、おいしいおいしいと言って食べた。


また、受験老人は実家の庭にある桃の袋掛けをした。
父は小さな畑での野菜作りが自慢で、いろいろ作っては私の家にも送ってくれていた。
特に桃が自慢で、受験老人も毎年それを楽しみにしていた。
父は母との生活を「桃源郷」と称していた。


だが、去年から、畑をする元気がなくなり、畑は荒れ放題になっていたのだ。


受験老人は、せめて自慢の桃だけでも、実を付けるのを見たかった。
そこで3月、コンポストいっぱいになっていた肥料を桃の木の下に撒いた。
しかしその後、コロナ自粛で来られなかった間に虫がいっぱいたかっていた。
それでも父は一人でいくつか袋をかけていた。


受験老人は、一か八か、残っていた小さな果実に袋をかけた。
なかなか難しい。袋がきちんと閉められず、パカパカになった。
おそらく、虫にやられるだろう。
だが、いくつかでもできたら・・・・桃源郷の復活だ。


どうなるだろう。毎回の帰省の楽しみが一つできた。