受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

肺炎・・・もしや

1か月ほど前、父が肺炎になった。迂闊だった。


父から高熱が出たという連絡が入ったのであわてて故郷に帰った。
うなされており、体温を測ると確かに39度以上の熱が出ていた。


かかりつけの病院に連れて行くと、すぐに検査され、その結果「インフルエンザ」と判定。
高齢の父にとっては、ちょっとした病気でも命取りになる。
それから5日間ほど、勤めを休んで看病した。老老介護である。


父はまだふらふらすると言っていたのだが、これ以上休むわけにもいかず、こちらに舞い戻った。
次の朝、父に電話すると、「全く体に力が入らない」とのこと。
たまたま来てくれていた親戚に頼んで病院に連れて行ってもらったところ、大きな病院に回され、そこで下された判定は「肺炎」。


本当に迂闊だった。私は父がインフルエンザの峠を越したのでもう大丈夫だと高をくくっていたのだった。免疫ができているから大丈夫だろうと。
父はインフルエンザから肺炎になったのだ。


その後、父は集中治療室に入って何日か過ごした。
そして、93歳という高齢にしては奇跡的に回復した。
医者も父の生命力の強さに驚いていた。
父はその後リハビリ用の病院に転院し、やっと実家に戻った。
先週末、父が元気に運動しているのを見て、一安心したというわけである。


さて、そこではたと考えた。
そう言えば、私こと受験老人は昨年秋、中国に行った。
シンポジウム等にも出席したが、そこには武漢出身の人たちもたくさん来ていた。
日本帰国後、故郷にも何度も帰って父と過ごした。
もしかして・・・・父は新型コロナ肺炎の日本初の患者だったのかも????
時期もピタリとあう。


まっおそらくその可能性は極めて低いだろう。だが感染の可能性はどこにでもある。
最近、電車に乗ると、ほとんどの人たちがマスクをつけている。
そして、マスクを買いに店に行くと、どこも売り切れである。
激しい花粉症に悩まされる私にとって、マスクが切れるのはつらい。
だが、皆も、今回のことは他人事ではないと思っているのだろう。よく分かる。


あまり詳しく言えないが、受験老人は職場から、コロナ用の現地要員に打診された。
どうしようかと悩んでいる。
患者に直接接するので感染の可能性がある。業務後、感染の確認の間は外出できない。
介護に帰れなくなるだけでなく、受験もできなくなる。


ただ、人助けをしたい気持ちはある。こんなことすらできなくて、どうして医師になれようか。退職前に、少しでも人の役に立つ仕事をしたい。


そう思うが、ジレンマである。


なお受験老人は、医学部の学士入学試験の最終合格発表をもうすぐ控えている。
だがこれは可能性は極めて低い。一次試験では準備不足にもかかわらず何とか受かったが、二次試験では受験者の誰もしないようなミスをやらかした。
合計すると、受験者のうち最下層の点数ではないか、と予想する。成績開示はないが。


それより可能性のあるのはあと2週間後にある一般入試。昨年のリベンジである。
急遽、受験科目を物理から生物に切り替えたが、なかなか勉強がはかどらない。


まあ、どちらか1つでも受かる可能性はコロナ肺炎になる可能性より低いかも。
その後の5月の司法試験予備試験は最近全く勉強していない。これも合格可能性ゼロである。
「受験老人日記」から「落第老人日記」に名称を変えた方がいいかも。


しかし、こうしてチャレンジするのは楽しいのである。