受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

数学の才能がなくなった・・・・

私こと受験老人は、これまで妙な思い込みがあった。


それは・・・・自分は数学だけはできる、という思い込みである。
 


算数や数学ができると、こいつは地頭がいいんだと皆に思われる。田舎のちょっとした秀才は、そのことでいい気になる。


実際、私は小・中学校を通じ、数学の勉強はほとんどしなかったのに、いつもテストでは満点が取れた。自分は地頭がいいと錯覚した。他のことは何らもできなかったにもかかわらず。


高校になるとさすがにそうはいかず、勉強をしていないと成績は落ちた。だが普通に勉強して理解すればテストではいい点が取れるという思いはあった。


そして、東大入試では数学の神様が舞い降り、6問中4問正解(たぶん。あくまで自己採点。)という奇跡が演出された。


このことで、自分は数学だけは誰にも負けないぞという自信が高まった。
 


しかし、その自信は東大入学後ぺしゃんこになった。秀才児たちが数学の授業で難問をいとも簡単に解いていくのを目の当たりにし、自分も凡人にすぎないと諦観した。


ただ、大学院の再受験で数学を徹底的に勉強したためか、大学院入試では数学はほぼ満点を取れた。(あくまで自己採点。)自分はやはり数学はできるのではという気持ちが復活した。


その時には、並行して理Ⅲ受験も進めていたが、最後の方では河合塾や駿台の模試でも相当高得点が取れていた。
 


・・・・それから40年経った。今、そうした自信はどこにもない。


数学は、パラパラの用紙でチャート式の数IA、数ⅡB、数Ⅲの例題を混ぜてやり、あと50問ほどになったのでいったん終わることにした。


そして、チャートの「総合問題」を順に解くことにした。200問近くある。それぞれ大学入試で出されたものだ。


私は、これまでチャート式の例題を繰り返し解いてきていたので、この総合問題もある程度解けるのではないか、とタカをくくっていた。


だが・・・・現実は厳しい。数Ⅰの最初の方の問題が数問解けただけで、残りは全滅である。1問も解けない。


しかも、解けた問題も、解き方があっているだけで、必ず計算間違いをしでかしていた。
 


・・・・自信崩壊。自分の数学の才能はいつの間にか消え去ってしまったらしい。いや、そんな才能なぞ、最初からどこにもなかったのかもしれぬ。
 


おそらく今のままではセンター試験も壊滅的だろう。そもそも時間内には解けないだろう。


しかし、とにかく練習あるのみ。マス・オーヤマによればスピードは豊富な練習量で培われる。


だが、練習をする時間がなかなかとれない・・・・。もう、センター用の模試をやっていくしかない。
 


私の頭には、年末から毎日1年分ずつ模試を解いていく自分の姿が浮かんでいた。とにかく背水の陣である。