受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

58歳の何のとりえもない男が、医学部と司法試験を同時に、しかも短期間で合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

ノーベル賞と2人の友だち

今年もノーベル賞の季節を迎えた。 日本は昔、科学技術基本計画という5年毎の計画で、50年間に30人ノーベル賞受賞者を輩出させる旨の目安を立てたことがある。 最初は荒唐無稽な計画だなあと思っていたが、2000年以降、あれよあれよと毎年のように日本から受賞者が出た。 そして、そのペースはまずまず維持されている。今年も本庶先生の受賞で、このままいけば、目標達成も夢ではない。 (ただ、著名誌への日本人研…

私が高齢で医学部を目指す理由(高齢者の星になりたい)

医学部を目指す理由のひとつは、高齢者でも医師として働けるということを示し、高齢者の星になりたいということである。 高齢者は、退職後に再雇用で働くと給料がガクンと落ちる。たとえ能力やスキルが若い現役世代を上回っていても。 そして、そんな高齢者が働く場所は、駐車場整備、守衛、庭の剪定等、単純なものに限られる。 元気で体力もあり、まだまだ働けるというお年寄りは多い(私を含めて)。健康平均寿命はぐんぐん…

私が高齢で医学部を目指す理由(人の役に立ちたい、医師への不信感)

医師の志望理由は複雑で、一言では説明できない。 だが、私には人の役に立ちたいという気持ちがある。 もちろん、人の役に立つ職業はいろいろある。多かれ少なかれ、ほとんど全ての職業は人の役に立つものだろう。 しかし、医師ほど直接的に人の役に立ち、感謝され、尊敬される職業は他にない。 私はかつて、大震災直後の福島で働いたことがある。 震災で避難していた人が再び自宅に帰るのを世話した。 普段は他の行政機関…

私が高齢で医学部を目指す理由(見返してやる、老後の資金)

今回からは、少し冷静に、高齢での医学部・司法試験の受験について考察していきたい。 まず、私が医学部を目指す理由はいろいろある。 断っておくが、これは面接対策用に書くものではない。だから突っ込みどころ満載である。 しかし、ここではあくまで自分の原点を明らかにしておきたい。 まず、最初に書いたように、退職後の再就職として、他を見返してやりたいという気持ちがある。 ただ、本当に見返すことになるのか否か…

本庶先生のこと

このブログは今後1日1本を基本とすると言ったが、緊急投稿させてもらう。 本庶先生のノーベル賞に、心からおめでとうと言いたい。 私が本庶先生に初めて接したのは、今から30年くらいも前のことだった。 行政をやるようになってすぐ、私は免疫系の研究推進方策作りを任された。 そこで当時の有名な免疫の先生を集めた。もう忘れたが、多田先生、高久先生等々、大御所の人たちが集まった。 本庶先生はその中にいた。一番…

人生の選択

行政職と、企業の研究所の最終面接が同じ日になってしまった。 行政職の方が面会時間が早く、企業の方がそれから1時間後にあった。 両方とも行くわけにはいかない・・・・。 片や行政、片や研究。さて、どちらを選ぶか。 国の試験を通った行政職というのは、一般に、キャリアと呼ばれるエリートである。(ただし当時、私にはそんな認識はなかったが。) だが、私にはどうしても、研究への道・・それは不老不死へとつながる…

わずか1か月の勉強で国の試験にも・・・・

正確な時期は忘れたが、大学院の修士2年の夏休み頃から、私は自分の研究について悩むとともに、将来の進路について悩み始めた。 このまま博士課程に進学して、本当に立派な研究者になれるのかという疑問が頭をもたげた。 それよりも、そもそも自分は研究が好きなのか、一生の仕事としてやっていけるのかという疑問がわいてきた。 ただ私は、そんな時になってもなお、不老不死の薬を作りたい、そしてそれでノーベル賞を取りた…

医師の研究者ってズルい?

このブログでは私の大学院時代の話をしているが、ちょっと休憩。 私が先日、出席した学会では、研究者に留学を勧めるセッションがあった。 日本学術振興会の特別研究員とか、ヒューマンフロンティアとか、その他財団から奨学金をもらったりすれば、何とか自分の腹をいためずに留学できる。 そうして進んだ海外の研究室で大いに自分を磨くのはいいと思う。 楽しく、夢が広がる。 だが、問題なのは留学した後である。要は、日…

大失態 その2

超遠心分離機の前でもじもじして何もしないでいた私を不審に思ったのだろう。N先生はつかつかと超遠心分離器に近づき、中をのぞき込んだ。 一瞬で事態を把握したN先生は、鬼のような形相に変わった。 そして言った。 「○○君、君が遠心分離機を壊したこと、これは信じられないミスであり、もっと気を付けて実験をしなければならない。 だが、それよりもっと悪いことがある。それは君が、この装置を壊したことを隠して、自…

大失態

私はがん細胞の正常細胞への分化に伴うがん遺伝子の発現状態の変化を突き止めたことで、またまた有頂天になった。 それを研究所の中で発表すると、皆、面白いと言ってくれた。 まさにそれは私が自分自身の発想で行ったことだった。だから、論文を書いても私自身が筆頭著者になれるぞ。そんなことまで考えた。 だが、その幸せな気持ちは長くは続かなかった。 それから約1か月後、Natureの巻頭に掲載された論文を見て私…

大挫折と再起

さて、がん専門家会合から意気揚々と帰ってきた私は、自分を栄光へ導いてくれる、培養されているがん細胞を見た。 おや・・・・ その細胞のプレートを顕微鏡で見ると、表面にたくさん細かいゴミのようなものが浮かんでいた。 コンタミ(細菌やカビなどで汚染されること)だった。しかも、細胞を増やしたどのプレートを見ても。 このようなコンタミのあった細胞はもう使うことができない。 私の実験は見事に失敗に終わり、栄…

新たながん遺伝子発見か?

がんの研究を始めた私は、夢中になった。 やり方はこうである。(ちょっと難しい話になる。) マウスの細胞を培養し、そこに人のがん患者から採取したDNAをバラバラにしてふりかける。バラバラにされたDNAの中には、それぞれがん患者のいろいろな遺伝子が含まれている。(ちなみに人の遺伝子は2万2,000ほどあることが分かっている。) すると、そうしてバラバラにされた人のDNAはマウスの細胞に張り付き、刺激…

がんの研究を始める

私は晴れて大学院生になり、ある研究室に所属した。 私がその研究室を選んだのは真核細胞を用いた分化の研究をやっているからだった。だから老化にも大いに関係していると思ったのだ。 進学先の指導教官は、当時は人気の雑誌 「週刊プレイボーイ」でも対談を行う等、有名な先生だったが、その先生は私にこう言った。 「君がまさか受かるとは思わなかった。私の研究室で研究したいと思う者はたくさんいて、中でもある優秀な学…

全ての生物学・医学研究は不老不死に通ず

「週末は実験を手伝ってもらいたい。」 そう、先輩にすがるように言われた時、私の気持ちは大きく揺れ動いた。 秘密裏に進めてきた東大理Ⅲ受験をどうするか。 せっかくここまで勉強してきたのだ。自分を試してみたい。 と、先輩の要請を断る気持ちの方が強かった。 しかし、先輩のすがるような態度を見ると、私としてはいやとは言い出せなかった。 彼は学位がとれるかどうかぎりぎりのところで、そのために完璧にデータを…

やっぱり東大理Ⅲを受けるんだ!

さて、ひそかに東大理Ⅲ受験をもくろんでいた私は、その後も受験勉強を続けていた。 勉強するのが楽しかった。問題が面白いように解けるし、何ら義務もない。 落ちれば大学院に行けばいいだけだ。 まあ、これは私の現在の状況に似ているだろう。ただ、再就職先がまだ決まっていないという点は大いに異なるが・・・・。 その後も試験を受けたが、また理ⅢはA判定が出た。私は、自分の能力が最高度に高まっていることを確信し…

院試には受かったものの・・・・

院試では、一年間の勉強の成果をすべて出した。 ドイツ語は結構できた。 なんせ、そのために「ドイツ語単語トレーニングペーパー」を買い込んで、1000語を完璧に覚えたのだ。 そして問題の生物や化学の試験では、ミカエリスメンテン式の応用等、面白いようにできた。 問題の内容はほとんど忘れたが、確かアセチルCoAの構造式を書けという問題が出されたと思う。 複雑だが、私は完璧に書けた。なんせ、それよりはるか…

東大理ⅢにA判定?!

私の院浪時代の話を続ける。  私が東大理Ⅲの受験も併せてやろうと決意したのは、確か3月頃だったと思う。 まず、ものは試しにと、二次試験の模試を受けてみた。駿台か河合塾のものだった。 当時はセンター試験ではなく共通一次と呼ばれていたが、それはとても簡単なものだった。それに東大は共通一次と二次の配点割合は1対9と、圧倒的に二次試験に傾斜配分していた。 だから私は共通一次は一切眼中になく、二次試験用の…

大村智先生のお話

昨日、ある学会で大村智先生の講演を聴いた。2015年のノーベル生理学・医学賞を受賞された科学者だ。 2000年以降、日本でのノーベル賞が量産されたため、もう名前を憶えていない人も多いかもしれない。でもその成果が人々や社会のためになったというと、この人が随一ではないか。 以下、ちよっと長くなるが、私なりにまとめたお話のツボを紹介する。 大村先生の発見したイベルメクチン、そしてそれから派生したさまざ…

東大理Ⅲも受けてみようか?

私は、次こそは院試に受かるべく、じっくり考えた。 実は本郷にあるその生物系学科は、進学振り分けでの偏差値は極めて高かった。 全部の学科のうちでも1位か2位にランクされていた。 1年生の丸1年間を棒に振り、専門課程ではかなり生物系を勉強したと自負した私も、 それは相当レベルが高かったのだ。 そこで、とにかく、どんなところから出題されても困らないよう、基礎からじっくり鍛えなおすことにした。 まずは、…

原理研

私はファインマンに傾倒したものの、不老不死の薬を作るという夢はあきらめたくなかった。 そこで、私はひとつ目標を立てた。 その時所属していた学科は、幅広くいろいろな学問を習得できる、いわゆる教養を身につけるための学科だった。 だが、大学院は、もっと専門的に不老不死のことを研究したい。 今の学科にずっといると、それはできない。だから大学院ではそれができる、生物系の別のところを目指そう。 そうは言いつ…