ついに東大を受験した
私の高校3年生はもう10月に入っていた。
どの大学や学部を受験するかについて、とりあえず、私は迷ってはいなかった。
それは東大の理科Ⅰ類だった。数学や物理、工学などを勉強するところである。
私は、自分は数学や物理の才能はあるのではないだろうかと思っていた。
中学時代、数学はほとんど何もやらずに100点を取れていた。
高校の時も、数学では最初は1番になっていた。途中からは急降下していったが。
だが、いろいろやりたいこともある。行きたい学部や学科の希望を1つには決められなかった。
ただ、東大は進学振り分けと言って、入ってからの成績で自分の進路を決めることができることを知っていた。
それで決めればいいではないか。まさに自分にはぴったりだ。
と、モラトリアムを楽しめることに魅力を感じていたのだ。
だが、当然、東大に入って皆に尊敬されたり、女の子にモテたりしたいという気持ちもあった。
小さいころから、身の回りのことがあまりできず、だらしないと友達にからかわれ、祖父母にも馬鹿にされてきた。
だが、東大に入りさえしたらそのことも含めてすべてを見返してやれる。
・・・・私には東大入学が人生のゴールド切符のように思えてならなかった。
ただ、現在の実力ではとうてい合格などおぼつかない。
何とかならないか。
はた見ると、高校の最初から続けてきたトレーニングペーパーはずいぶん遅れていた。
もう2、3か月分はたまっていた。特に3年生になって全然勉強できていなかったのである。
私は猛然とそれに取り組みだした。
とにかく、理解しよう。入試の範囲まできちんと終わらせよう。
そう思って、地道に取り組んだ。まあそれでも、一日の勉強時間は5時間ほどだった。
幸いのことに、私の学年は、共通一次試験が開始される一年前であり、大学の本番の試験まではまだ時間があった。
そして、そのときから、私は本当に自分のためになる勉強をやったのだ。
1問1問を、もうこれで絶対理解できたと思えるまで見直した。
英語は単語で分からないものが出てくると書き出し、同意語や関連語を組にして覚えた。
私の中で、ぼんやりしていた学習の体系が、次第につながり始めたのだ。
なんとなく、もしかしたら自分は受かるかもしれない、という気持ちが起きてきた。
模試の成績はひどく悪かったにもかかわらず・・・・。
そして、いよいよ東大入試の日を迎えた。
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