受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

勇気を出せ!


その本を読み進めていくと、著者が不思議な夢を見たことが書かれてあった。


お父さん、お母さん、ごめんなさい。


そうして何度も何度も自分が謝っている姿である。



著者は、対人恐怖症に苦しみ、それを克服するためにいろいろな修行をした。


だがそれらはいつも中途半端に終わっていた。


直接やらねばならないことと向き合ってはいなかった。


自分はいったい何をやっていたのだろう。


結局、苦しみから逃れようとしていただけではないか。


やらねばならないことはほかにある。



そう思った著者は、街に飛び出して行った。


そして、街で演説を始めたのである。


どもりどもりしながらも、自分の思いを人々に大声で話した。


町行く人たちは皆、不思議そうに著者を見た。


しかし、そんなことはお構いなしである。



著者は、何度も何度も、演説を続けた。


すると、次第にどもらなくなってきた。


自分は、やればできるんだという気持ちが芽生えた。


すると、人前で話をするのが楽しくなってきた。



著者は市長に立候補し、見事に当選した。


演説の迫力が認められたのである。


そして著者は、自分のような人たちのために、修行道場を作った。


すなわち、皆の前で話をし、演説をする機会をどんどん与える場である。


著者は、そうして自分を苦しめたことを克服し、その経験を基に、人のために生きたのである。



私は、この本を読んで、強く頭を打たれた。


自分は今までいったい、何をやっていたのだろう。


苦しみから逃げることばかりを考えていた。


そんなことで治るわけはない。


よし、明日からがんばるぞ。