受験老人日記~高齢で医学部と司法試験に大挑戦~

還暦を迎えた男が、医学部と司法試験を同時に合格することを目指すという無謀な冒険に乗り出した

医学部不正入試について思う

受験老人はそろそろ、医学部受験のためのセンター試験に本腰を入れて取り組まねばならない。(もう遅い?)
 


今日の朝刊を見ると、こんな記事が載っていた。(以下、私なりに要約した。)


「医学部の不正入試問題により、問題を起こした大学では100人超の追加合格を出す方針だが、その分だけ来春入試の定員が削減され、来春の受験生にしわ寄せが及ぶ形となる。


だが、政府は医師が過剰にならないように医学部定員を抑制する方針を閣議決定しており、文科相は、「政府全体の方針を踏まえ、定員増を認めないことが大前提」と語った。


これに対し、各地の医学部生らでつくる団体は、文科省に対し、来春の医学部入試で臨時的に定員を増やすことを求める要望書と署名を提出した。」
 


う〜む。医師の長期的需給バランスを考える国の立場も、つらい受験生の状況を考える当該団体の立場も分かることは分かる。


受験生の私としては、どちらかというと定員増をしてもらいたい立場になるだろう。


本来は、問題を起こした大学が自身で片を付けなければならないのだが、1つの大学の学生のキャパシティには限界がある。


だから各大学の定員を今年だけ特別に少しずつ増やして対応すればいいというのが(もし定員増するとしたら)一つの考え方だろう。それに、地方大学の定員を増やせば地域医療の向上にも役立つ。まっ、受験生としての勝手な理屈にすぎないが。
 


私がちょっと驚いたのは、要望を出している当該団体が受験生の団体ではなく、既に医学部に入っている人たちの団体だということ。(間違っていたら話は違う。)


「既得権」というのがある。いったん得た権利を守るため、自分と同じ立場になろうとする者を排除し、自身の希少価値を保とうという心理である。


法科大学院を作るときの弁護士団体の抵抗然り、看護師に特別資格を作ったり、救命救急士の応急措置を認めようとしたときの医師会の反発然り。


まあ青山に児相を作ろうとしたときの住民の反発なども広い意味でこの類だろう。


要は、自分たちが苦労して得た資格、金をかけて買った土地の希少価値を少しでも維持し、さらに高めようということだ。それは人間の心理にちがいない。


速い話、私だってそうだ。私の場合はたまたま試験ができる才能があっただけで、人間としての頭自体はそんなによくないのに、東大に入ってその恩恵に浴することができたし、また行政でもこれまで安穏と過ごせてきた。これを「既得権益」と言わずして何と言おう。


だから、こうした団体が、既得権に反して、受験生のために定員増を要求したのは、少なくともその意味で立派だと思うのだ。


もしかすると受験生の親たちからの突き上げがあったのかもしれないが、あるいは、地域医療がひどく行き詰っているのでは・・・・そう思った。


 
今後、女性の医学部合格が増えたとして、入った女性が医師になって男性と同様ばりばりやる率が増えるだろうか。また同様に、多浪の受験生が合格したとして、入った者が留年せずに優れた医師になる率が増えるだろうか。


私はそうは思わない。その性質は本質的に変わらない。むしろ、これまで差別により高得点の者しか合格できなかった女性や多浪生が、他と同じ水準で合格するようになると、上記のように全うできる割合は減るのではないか。


すると、相対的にまっとうな医師の率が低下し、特に地域医療は苦しくなる。


それならば、そうしたことも考慮し、医師の数をあらかじめ増やしておいてもよいのではないか。とも思う。


しかし一方で、それよりも都会に集中する現在の医療体制自体の方がはるかに問題だと思うし、また、女性や多浪生に対し、ステレオタイプ的な見方をするのも問題だとも思う。


天皇陛下の手術をした天野医師のように、多浪で医学部に入っても立派な医師になっている方もいる。女性でものすごく頑張っている医師も多い。


真に正確に受験をしようと思えば、全国の医学部について、女性や多浪生が、実態としてどれくらい働き続けるか、留年をしないか等のデータを取り、それを解析して比率を決めてもよいかもしれない。


私の経験では女性は地道に努力するタイプが多い。そうした性質は、大量の知識を詰め込まねばならない医学部では有利だ。もし結婚・出産によるリタイアを除いて考えると、逆に女性の合格者数をもっと増やすべきという結果も出るかもしれぬ。


まあ、個人的な違いもあるし、いったん区別することを始めると、条件も性別や年齢といった特定のものにとどまらなくなるおそれもあり、それが難しいから平等にするしかないのだろう。



私自身の想いとしては、私のように超高齢受験生には、思いっきり辛く採点をしてもらいたい。何十点マイナスでもいい。(特に国立大学では。)


それほどハンディを負って当然だ。でなければ国が高い教育費を払って教育しても実働時間が少なければ国税のムダ遣いになる。


又は、合格後ストレートで卒業し、医師の国家試験も一発で受かり、医師として何年間以上働かなければ、その時にはさらに追徴金を要求するという形でもいい。(これは高齢受験生に限らぬが。)


ただ、門を最初から閉ざすのではなく、どんなに狭き門でも、可能性は残しておく必要がある。


そうすれば、それだけの覚悟を持つ受験生が受けて合格し、それだけの覚悟を持てば、卒業後もしっかりやっていけると思うがどうだろうか。


まっ自分は今の水準では偉そうなことは言えない。だが気持ち的にはそう。


ぎりぎりで合格するくらいなら、将来のある若者に進んで席を譲りたい。これは正直な気持ちだ。
 


ただ、さらに思うと・・・・どうせ受からぬからと単に格好をつけているだけかもしれない。もしぎりぎりでも合格したら、そんな殊勝な気持ちなどあっという間に吹っ飛んでしまうかもしれぬ。


人間は・・・・弱い生き物である。



まっとにかく、来週からセンター用の問題集をやってみよう(ちょっと高いがブックオフで入手した)。何割くらいとれるか。ひたすら不安である。